症例紹介

治療に難渋した感染性粉瘤の症例

local_offer粉瘤治療症例

75歳の男性です。

10年以上前から左肩にしこりがあり、徐々に増大していると感じていました。

疼痛がなかったので放置していたところ、来院1週間前からしこりが徐々に痛くなり、痛みで夜も眠れなくなったそうです。

 

来院当日、しこりは左肩に拳(8cm以上)くらいあり、著明に皮膚は赤くなり、毛穴が開いてイチゴ状になっていました。(1回目 術前)

 

超音波検査で腫瘍の内部エコーはほぼ均一でしたが、腫瘍があまりにも大きいため、後方エコー増強のサイン(粉瘤を診断するときに有用なサイン)を表在プローべで確認不可能でした。(超音波検査)

 

病歴と身体所見から感染性粉瘤もしくは原因不明の皮下膿瘍で敗血症に移行して生命にかかわることも危惧されました。そのため腫瘍を緊急切開しました。腫瘍を切開すると、粉瘤の角質と表皮嚢腫(→)が大量に流出してきました。(1回目 術中)

 

30分以上かけて、できるかぎり粉瘤を除去しました(1回目 術直後)

 

1回目手術の翌日より傷から膿の流出と傷周囲の赤み(炎症)が続きました。
当初は傷に細菌感染を合併したと診断して、連日、傷の中を生理食塩水で洗浄しました。(1回目 術後1日目、1回目 術後7日目)

 

1回目の手術後14日目に傷を洗浄していた生理食塩水が傷と離れたところから流出したため、ろう孔を形成したと診断しました。(1回目 術後14日目)

 

傷からモスキート(手術につかう器械です)が傷と連続しないところへ出ています。(2回目術前 モスキート挿入中)

 

モスキートを挿入して、ろう孔の経路を確認しました。

 

ろう孔の真下に残存する粉瘤があると診断して、ろう孔を解放しました。

傷の中の左側にある灰白色のもの(→)が残存粉瘤の表皮嚢腫です。(2回目 術中)

残存粉瘤の表皮嚢腫を完全切除しました。(2回目 術直後)

その後、傷の炎症は急速に消失して治癒しました。(2回目 術後7日目、2回目 術後24日目、2回目術後4ヶ月目)

 

粉瘤は、8cmに増大する前に皮膚に潰瘍ができて感染した角質が排膿されるのが一般的です。この方の場合は、皮下脂肪組織の方へ嚢腫が拡大したため増大したようです。

 

初回手術から1ヶ月以上かかりましたが、なんとか治癒しました。

ろう孔を作ってくれたので、粉瘤が残っていると診断できましたが、ろう孔を作らなかったら再切除のきっかけがつかめません。あすなろクリニックの経験上、5㎝を超える炎症を伴った粉瘤は一期的切除が困難なこともありますね。

 

粉瘤は良性腫瘍ですが、早期治療が大切ですね。

 

1回目 術前 超音波検査 1回目 術中 1回目 術直後 1回目 術後1日 1回目 術後7日 1回目 術後14日 2回目 術前(モスキート挿入中) 2回目 術中 2回目 術直後 2回目 術後7日 2回目 術後24日 2回目 術後4ヶ月

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